読書感想文を書こう

 八月も数日過ぎました。そろそろ、「お盆前に宿題終わらせよう!」と後回しにしていた読書感想文に取りかかる頃ではないでしょうか。

 今回は読書感想文の具体的なテクニック……ではなく、もう少しあいまいに「どういうつもりで書けばよいか」をお話しします。

 

 多くの子どもたちは、読書感想文で本の感想を書こうとします。

 感想文なんだからそれでいいじゃん、と思うかもしれませんが、子どもたちにとって感想=感情・気持ちです。楽しかったとか面白かったとかすごかったとか、そんなんです。

 ところが感情というのは、意見と違って論理ではありませんから、言葉では表現しにくい。まだ語彙力のついていない小学生には、自分の気持ちや感情を言葉に落とし込むのは難しい。そのため「面白かった」から先が続かなくなってしまいます。

 なら感想ではなくて意見を書けば良いということになりまして、それはその通り。本に対する意見、考えを書くと書きやすい。

「主人公はどうしてこんな行動をしたのだろうか、それはおそらく……」

「この本では○○を△△だと考えていた。しかし私はこう考える。それは……」

 

 でも本をもとに意見を述べるって、小学生や、本に不慣れな中学生に要求するのって厳しくない?

 

 で、「どういうつもりで書けばよいか」なんですが、「本はいいから俺の話を聞け」というつもりで書くことをおすすめします。

 

 読書感想文を書こうとすると、ついつい本を主役にしてしまいます。

 でも読書感想文の主役は、感想文を書く人です。自分のことを伝えるつもりで書くと良い。

 例えば『100万回生きたねこ』を読んだとします。その感想を、本を主役に書くと「猫がかわいそうだった」とか「最後、白猫と幸せに暮らせて良かった」とかになります。ここから考えをふくらませられたら良いのですが、小学生には難しいですよね。

 そこで、本から離れて、自分のことを書くようにしてみる。

「そういえば、うちにも猫がいるなぁ」と思ったら、「わたしの家にも猫がいます。真っ黒な猫で、名前は……」と、『100万回生きたねこ』から連想した「うちの猫」のことを書く。

「飼っていたペットが死んだのを思い出した。金魚だけど、悲しかった」と思ったら、その金魚が死んだときのことを書く。

 そうやって書いていると、感想文のはずが生活作文みたいになってしまいますが、大丈夫、OKです。だって本から連想したことを書いているのですから。

 そして最後に、自分のことと本の内容を結びつけて、まとめの文章を書ければ最高です。

 でも、上手くまとめられなくてもOKです。気にしないで下さい

 感想文を書かせているお母さんは「もっと上手いことまとめて!」と思うかもしれませんが、本と自分のことを関連づけて着地させるのは、大人が思っている以上に高度な思考力が必要です。少なくとも低中学年の子には、あまり期待しすぎないように気をつけて下さい。

「なんでこんなことも書けないの!」と思ったら、自分が子どもの頃なにを考えて生きていたか思い出して下さい。たいていの人は、「なにも考えてなかったなぁ」と思うはずです。もしくは「バカなことばかり考えてたなぁ」。子どもの頃の自分を思ったら、あまり子どもに要求するのもなぁって思いません?

 

 話がそれましたが、読書感想文の主役は感想文を書く人です。本でも、その本の作者でもありません。

 自分のことばかり書いちゃってOKです!

 

2017年08月04日