蛍を探す

 先週の事ですが、豊川の生徒たちをつれて蛍を探しに行きました。

 近所に幅五メートルほどの川があり、その上流が小さな堤でせき止められて池のようになっています。そこに以前、蛍が飛び交っていまして、せっかくだから見に行って、それを作文にしてもらおうと思ったのです。

 しかし、スケジュール的にあらかじめ蛍がいるか確認するのは無理。

 しかも雨で気温の涼しい日が続き、日中に下見に行った時は水がややよどんでいるようで、いるかいないか怪しい状況です。

 と言うわけで、蛍の他にもう一つ課題を設定。

 普段あまり歩かない夜道。日中との違いに意識を向けて、帰ってきたらどんな事があったのか、何がどう見えたのかを文章にしていきましょう、と。

 以前にも近くの池まで散歩して作文にしてもらいましたが、こういう「外に出る」「自然に触れる」ということをしますと、作文を書く姿勢が目に見えて変わります。良い刺激になるんでしょうね。

 

 こうして生徒数名を連れて往復三十分ほどの散歩をしたわけですが、残念ながら蛍はいませんでした。

 日没後すぐの時間で、まだ少し早かったのかもしれません。

 でもまぁ、だんだん暗くなっていく小道を歩く体験、道中にいた大きなカエルの姿や虫の声、山の向こうの三日月、街灯の下でお化けのマネをする子とそれを見て怖がる子たち、悪くない体験だったと思います。

 次は、その体験を文章にしていきます。

 何があったのか、まずは記憶に残っている事をノートに書き出していきます。全員同じ道を歩いたのに、何を強く覚えているのかはみんな違います。その注目する部分の違いが個性なのでしょうね。

 

 

 さて、一週間経って今週、作文の続きを書いてもらったのですが……

「そういえば先生、先週帰る時、川のもうちょっと下流の方に蛍飛んでたよ」

 そうですか、上流でなくて下流にいましたか。

 

 

2019年06月14日